片雲さくら

百万畳ラビリンス(上・下)/たかみち/ヤングキングコミックス(少年画報社)

行けども行けども畳の部屋、この先も…とあけた襖の先は果てしない緑と空。ゲームのバグ、制作者すら知らないバグの先にワクワクするほどゲーム好きの礼香は同じくゲーム好きの同居人・庸子とゲーム会社のデバッカーとしてバイトをしていたがある日、なぜかそんな畳の世界に。出口を探す二人は、あるゲームの天才制作者・多神もこの謎の世界にいることを知り、コンタクトを取る。

唐突に謎の世界に閉じ込められた二人の女の子。ま、ゲーム好きなので、何故? と思いつつも嘆いたりわめいたりするでもなく走り回って出口を探す。
礼香はバグ好きということで、凡人には考えられない奇想天外な考えの元、さっさと行動しちゃう子で。最初っからちょっとこの世界を楽しんでる感じ。
庸子はゲームは好きでもそこまで世界を堪能するでもなく、置いてあるジュース飲んだり、もの持ち去ったりするのは異世界といえどダメでしょといいつつ、なんでも協力してくれる。常識的にというより、心配だからこそって感じがあって、でも重くもなく上からでもなく、こんな彼女に惚れる男がいるというのも納得な、かっこいい女だと思う。

なにより、この話はミステリーなんですよ。
ゲーム世界というだけで、そういうことだよなという期待を裏切らない、謎があちこちにあって、正解、というより、どう攻略するのかにかかっているからこそ、出口を探すには世界の構造やものの概念とか、敵? 敵なのか?っていうところ、何が危険か、死ぬことはあるのか? とかいろいろ考えないと進まないのである。そこがスゴイ。
ミステリーでいうと井上夢人の『クラインの壺』があるけど、これは漫画なので、話のみでなく、その背景やら世界観やら、無重力感やら空間の上手さとか、ホントスゴイなぁと話だけでなく画力にも感心しながら読んでました。もう、すぐにでもアニメになるかもねぇ。

初読みの作家さんながらも上下巻で買ってしまったのはこの表紙で騙されるとしたら、もう暫く漫画買うの辞めようと思ってたのにw どうしてくれる?w

上巻で礼香の過去、人が苦手でゲームにはまってしまったのかってのがちょっと描かれている。別に要らない気がしたけど、下巻で庸子が「変わった」ことと、「多神ビームパート2」を拒否したこと。庸子がさらに好きになったし、多神の存在も礼香の選択も彼女のおかげで納得できた気がした。
ゲーム好きにもいろいろいるのだ。

私はゲームは攻略本なしに進めることはできない人間なので、なんかヒントがあっても、これはなぜこうなるのか、何を使えばここが開くのか、なぜ開いたのか、は、やってみて「そういうことか」とか説明されないとそのこじつけにたどり着けないタイプなので、あらゆることを試してみて、「だからこうじゃない?」と説明できる礼香がスゴイなと思った。
もちろん楽しんでいるからこそ、奇抜なアイデアが浮かぶのだろうとは思うけれど、だから、現実世界でうまく行かなくなって人が苦手になったのだとしても、庸子のような素敵な友人ができたのだから、もっと現実世界にも目を向けてもいいのではないかと思ったりして、ちょっとラストは残念な気もするし、彼女が幸せならいいかとか、でもきっと、あの世界がバージョンアップしたり、敵が複合して進化したり、ディレクターズカットがでたりしない限り、いずれ終わるのだろうしと思うと、これでいいのかとか、思ったり。

全く関係ないけど、奥付で筆谷さんの名前をみて、こんなところで活躍しているのかと驚いた。コミケカタログで「おじさんといいところいこうね」って繰り返すあの漫画を思い出した。いい人材をこれからも見つけてほしいです。

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片雲さくら

1月に読んだ本(2016年)

最近、KIRIN BITTERS グレープフルーツ味にはまっている。 飲みやすすぎて、一瞬で眠くなる。。。 疲れてるのかね。 乾燥肌と花粉症でつらいこの時期。。。
 

2016年1月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:1757ページ
ナイス数:170ナイス

キラリティ (コミック(YKコミックス))キラリティ (コミック(YKコミックス))感想
そっかぁ。月とか火星に移住って本気で考えてる人もいる話は聞くけど、重力の問題とか全然考えたことなかったわ。0Gってちょっと面白そうだけど、意思どおりにものを扱えないだろうからイラつくだろうねw。話はよくわかんないとこあったけど、まぁ面白かった。猫主張しすぎだろ、憎めないけど。
読了日:1月31日 著者:大石まさる
遮光 (新潮文庫)遮光 (新潮文庫)感想
気持ち悪い。なんでこんな話を書いたのかわからない。嘘だらけってだけじゃなく、行動に本位もないなら「虚言」だけじゃないでしょ。親の爪や髪もって記憶が正しいなら、愛でもないでしょ?
読了日:1月23日 著者:中村文則
フラジャイル(5) (アフタヌーンKC)フラジャイル(5) (アフタヌーンKC)感想
岸先生、ステキです! 高柴先生がって唐突すぎる気がしますが、最後に岸先生が頭下げるシーンはなんだか間道しました。顔や態度で悪態つくけど、しっかり人をみてるんだな。話事態も「えっ?」ってな展開で良かった。しかし、裏表のありそうな経コンの若造が新たな刺客かね。嫌だなぁ。
読了日:1月22日 著者:恵三朗
イエスかノーか半分か (ディアプラス文庫)イエスかノーか半分か (ディアプラス文庫)感想
毒づき方が半端なくばっさりで気持ちよい、オフの計と、非の打ち所もない作り上げたオンの計、どっちも100%ではないし、ずっとそれじゃ疲れるだろうから、どっちでも自然に受け入れてくれる潮という存在は有難いだろうなと思った。可愛いカップルだ。皆川くんの話はちょっとありがちな気がしたけど…。
読了日:1月20日 著者:一穂ミチ
海街diary 7 あの日の青空 (flowers コミックス)海街diary 7 あの日の青空 (flowers コミックス)感想
すずちゃん成長してるんだねぇ。それにしても気持ちはわかるけど、こっそりつけるクセは直した方がいーぞ。いくら姉妹でも…。朋章の進学もわかってちょっと嬉しい。ねぇちゃんたちの恋の行方も楽しみ。
読了日:1月15日 著者:吉田秋生
GANGSTA:CURSED. 2: EP_MARCO ADRIANO (BUNCH COMICS)GANGSTA:CURSED. 2: EP_MARCO ADRIANO (BUNCH COMICS)感想
コニーとマルコの出会いはこういうことだったのか。腕のタトゥーは母さんと一緒なのね。マルコのように駆逐隊の意義について迷うのはわかる。他のメンバーの闇もこの先わかるのだろうか…。
読了日:1月12日 著者:
魔法使いの嫁 4 (コミックブレイド)魔法使いの嫁 4 (コミックブレイド)感想
エリアスもチセも想いあってて、でも二人とも子どもで。なんかいいです。温かく見守ってあげたい感じがしてしまう。エリアスの過去がちょっとわかってますます面白くなってきた。吸血鬼のねぇさんもステキ。
読了日:1月11日 著者:ヤマザキコレ
魔法使いの嫁 通常版 3 (BLADE COMICS)魔法使いの嫁 通常版 3 (BLADE COMICS)感想
エリアス、化けるんだねー、つか茨になったりするからそうか…。チセに頼りになる使い魔ができてよかったねぇ。ちょっとかわいいw
読了日:1月10日 著者:ヤマザキコレ
僕だけがいない街 (7) (カドカワコミックス・エース)僕だけがいない街 (7) (カドカワコミックス・エース)感想
えー?漫画じゃない…。まとまってからじゃないとこの巻さっぱりわかんない、つか、次出たらもう一度読み返すかなー。
読了日:1月3日 著者:三部けい
暗殺教室 17 (ジャンプコミックス)暗殺教室 17 (ジャンプコミックス)感想
「小動物のメス」ってどゆこと? 宇宙旅行がハネムーンにみえちゃうぞ、コノ!
読了日:1月2日 著者:松井優征
暗殺教室 16 (ジャンプコミックス)暗殺教室 16 (ジャンプコミックス)感想
殺せんせー、人だったのか。暗殺を目的としてただけに「助ける」と言う選択があるとは思ってなかった。戦いのはてになんかあるとばっかり…。
読了日:1月1日 著者:松井優征

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