片雲さくら

ボーイズ・ビー

ボーイズ・ビー/桂 望実/小学館
小6の兄と小1の弟。『死』を理解できない弟に「ママは星になったんだ」と言ったけれどやはり理解していなかった。絵画教室では「心の病ではないか」と言われても、父親には話さず抱え込んでしまう兄。消防士をしている父はもちろん尊敬しているし、心配かけて仕事に支障をきたしたら大変だから、「お兄ちゃんだから」、お母さんにも言われたから、なんとか自分で頑張ろうとする兄。
70才の偏屈じじぃ・栄造は靴職人だがここのところ、満足いく靴を作れなくて腐っていた。歳のせいなのか、客の質が落ちたせいなのか。とかく人と係わるのが面倒で嫌いだった。仕事場にしてるアトリエの住人は繋がりを持とうとするから適わない、ほっといて欲しい…。
そんな二人が出会い、ギクシャクとしながらも心を通わせていき…。
兄弟がいる人ならとかく、涙なしには読めないのではいだろうか。「頑張れ」って言われたし、「頼んだぞ」って言われてるし、そうしたいと思っているのだ。問題に直面するたびに真っ先に「わかんないよ」と叫びたい気持ちを抑えて。なんとも涙ぐましい。発散するには時に兄弟ケンカも必要だろうに、けなげにも守ろうとしているので、壊れやしないかと心配しながらページを捲る。「ピンと張りつめた糸みたいで」と栄造がその少年をほっておけなかった理由を語る。
死日記と違って最後はとても温かなラストなので、これはもうあらゆる人に読んで戴きたい。「中学入試にも多数出題」とあるが、確かに、その年代の人が読んでも理解できる話だと思う。私が毎回反吐吐いてる、某児童文学よりはこういうものを読んでほしいと思う。
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