片雲さくら

FINE DAYS (祥伝社文庫)

評価:
本多 孝好
祥伝社
¥ 630
(2006-07)
おおむね良い
多彩
リズムよく読ませる。
4話の短編集。その中の「イエスタデイズ」が映画になるそうで、文庫が増刷されたようです。
昨年、「side A」「side B」を読んで一気に好きになって、大人買い(またかよ)した作家さん。久しぶりに読みます。
久しぶりのせいか「FINE DAYS」、とっても入り難ったです。どこが「FINE DAYS」なのかとつっこみたいところだけど、長い目でみればこれもまた平穏な日なのだろう。

「イエスタデイズ」、「地下鉄に乗って」に似てる。そりが合わない父親が死を迎える。なりふりかまわずその手で会社を大きくしてきた経営者。その方針に馴染めない息子が過去の父親のいる風景へタイムスリップ(?)というか、時空を捻じ曲げて接触し会話する。
あれは地下鉄が必要だったけど、こちらはドアを開けるだけ。
しかしあの話、私は映画で観ただけだけど、なんとも理不尽な終わりだし、胸糞悪かったし、後味もサイアクだったけど、それにくらべればマシかな、って程度。よくはない。目新しさも、本多さんの良さもない(私が見出せないだけだろうけど)。どうせ映画にするなら「眠りのための暖かな場所」をして欲しかった。
でもこの院生を演じられる、こういう口調の似合う女優さんが思い浮かばない(笑
真木よう子とか、ちょっと年いってしまうけど篠原涼子とか、その辺り。

「眠りのための暖かな場所」、妹を殺したという自負を持ち、そして社会とかみ合うところが見出せないでいる院生。自分と似たように、ゼミの学生の中で誰とも馴染もうとしない男の子に友達をつくるべく飲み会を設けるも、会話すらなりたたず終わる。しかし、彼を挟んで恋愛沙汰で宣戦布告してきた女学生。こちらの思いとは別に戦いが始まるのかと思いきや、女学生が事故にあって重態。彼女を見舞いにいくと、病室にいた怪しい男が…。
ホラーとまでは言わないと思うけど、幽霊とか心霊とか、そういう話が絡むと俄然面白くなってきますね。「MISSING」もそうでしたが、なんというか、現状を生きている人たちも、どこか冷めているというか、見なくていいものは見ないようにするとか、わざと素通りするとか、会話の途中でもさっさと席をたったりとかね。感情を沈めて押し流していくところがスマートに描かれていて、また納得できるから面白い。引き込まれる。胡散臭い話が立ち上がっても、無駄に騒ぐこともなく、生身だろうと心霊現象だろうと、ラインがそこにないから面白いのかもしれない。

「シェード」、これもまたおしゃれな話だった。
お目当てのアンティークを買い逃した青年が、店の老婆から、物語を聞かせてもらう。闇にとけてしまう女の話を。
『雨柳堂夢咄』や、『百鬼夜行抄』のようだった。と言ってしまうともう、それだけで語ることもない。
物語とリンクしたまま、結末はどうなる? とヒヤヒヤしながら読みましたが、いや、良かったです。「眠りの〜」が、「いやー、そんなところで終わらないで〜!!」だっただけに、終わりでホッとできてよかったです。


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Comment
nanaco☆
2008/10/20 11:16 PM
あっ!!これやっぱり面白そうです〜♪
nanaco的には「シェード」が一番気になります。
「百鬼夜行抄」1巻だけ読んで途中なんですよねぇ^^;あの世界観はとっても好きなんですが、絵があまり好みでなかったような。。。
さくらさんのレビューうかがっていたら、読みたくなったので、読みたい本リストに追加しておきま〜す(*^_^*)

タナシュン♪
2008/10/21 1:10 AM
地下鉄(メトロ)に乗ってって予告編は見たことある。三丁目の夕日かと思った。・゚・(ノ∀`)・゚・。
タイムスリップものでは新潮文庫から出てるリプレイって本が最高によかったな。何年か前にキンキの剛主演のドラマが中途半端にパクってて腹立ったのを覚えてる。何回も同じ日に死んでは人生やり直す男の話で、やり直し3回目ぐらいで読むの飽きてきたけど、4回目ぐらいの時にとんでもない事に気がついて…とそっからはページめくる手がもどかしいくらいに一気読みしたなぁ。

…思えばその頃ぐらいから読書してない気が…
。・゚・(ノ∀`)・゚・。





作太郎
2008/10/21 12:39 PM
さくらさんの感想を読むとこの本とても読んでみたくなりますね。
キケンだ。BUMPのアルバムといい、ここに遊びにくると出費が増えていく・・(笑)

さくら
2008/10/21 2:42 PM
nanacoさん、こんにちは。
あら、読みますか。感想楽しみにしてますね。
3、4は多分お好きかな〜と思うけど、ちょっと心配(^^;
はずしてたら、ごめんなさいね☆

さくら
2008/10/21 2:46 PM
タナシュンさん、こんにちは。
タイムスリップというか、なんというかね。
時空を捻じ曲げる話には、あまり納得いくものがないのが正直なところ。だからSFだめなのか?
私のお気に入りは「飛ぶ夢をしばらく見ない」「時をかける少女」
http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/
こないだついに録画成功した。よかった☆

さくら
2008/10/21 2:47 PM
作太郎さん、こんにちは。
あまりレビューは上手くないんですけど、そういってもらえるとサルとしては木の上の眺めも堪能できます。
BUMP、レビュー続けちゃいますよ♪

It comments.









    
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