片雲さくら

氷菓/米澤 穂信

評価:
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 480
(2001-10-31)

「やらなくてもいいことはやらない、やらなくてはいけないことは手短に」自分のモットーを省エネとするホータローは、海外旅行中の姉の手紙により、古典部に入部することとなる。ホータロー以外入部するものはいないと思ったが、誰もいないはずの部室には、楚々とした、女学生というような古風な呼称を与えたくなるような千反田がいた。

 

“省エネ”をモットー? 極力動かない。ムダなことはやらない。というわけだが、そういうヤツのためにか、周りはいい具合にホータローが石ころにならないように極力動かそうとするものが集まってくるから、世の中うまいもんだね。 千反田は気になりだしたらじっとしていられない、見た目と違うお嬢様。どうもホータローは彼女に弱いらしい。 あとは、コンビといってもいいくらいの手芸部と掛け持ちしている里志と、これまた口がたつ井原女史。この4人が古典部を継続させるわけだが、風前のともしびだった古典部の昔を知るものはなく、文化祭に出すべき文集の存在さえも謎。 密室となった教室。薬品金庫の文集。そして千反田の思い出せない記憶。学校にある小さなミステリー。

 

というわけで、ともすると事件事態なんだったっけか? と次の章に移るときには忘れる程度の薄い珍事があったりするわけだけど、省エネといいつつ、ホータローの頭の中はボーとしてることはなく、せわしなくなんだかんだと考えてたり、言わなくても、ツッコミくらいは追っていたり、遠まわしにもあれやこれやと言い訳や、小さな言い間違いにもひとつひとつ訂正も入れるくらいでちょっと面白い。これが口から生まれていたら多分嫌われてたろうから、省エネモットーでちょうどいいのかもしれない。

 

あっさりとした読み切りで疲れなくていい。

 

 

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