片雲さくら

サクリファイス/近藤史恵

評価:
近藤 史恵
新潮社
¥ 460
(2010-01-28)
後味悪い
新しいスポーツの面白さに目覚めました
Love is Akin to Hate

ぼくに与えられた使命は、エースが勝つために尽くすこと―。
勝つことだけを求められる陸上の世界に、居心地の悪さを覚えていた誓はロードレース界のアシストとしてチーム・オッジに飛び込んだことに、またエースである石尾にアシストとして尽くすことに満足していた。
ある国内レースで、憧れの海外有力チームが若手をスカウトするためにやってきたと聞いて色めき立つ。だが、オッジの若手・伊庭はチームメイトに疎まれてもエースの座を狙い、また、エースの石尾が過去に起こした事故のために、半身不随になった選手の話も耳に入り、誓の心は揺れ始める。

 

実際のロードレースは最後まで見たことないんだけど、茄子 アンダルシアの夏をみて、自転車レースの魅力に惹かれた。 ロードレースのルールというか、「そういうものなのだ」というのは、この小説の中でも初心者が読んでもわかりやすく描かれているところは良いと思った。

 

誓という主人公は、アシストという立場に満足している。
陸上では名をあげていたことに対する重圧感が、ゴールを抜けたときの満足感で満たされないという感覚があったという。
なんとなく、それもわかるような気がした。
勝利することがすべてではないと思う。

 

2ちゃんねるを作ったひろゆき氏のインタビューを、たまたま最近読んでて思った。
「飽きちゃうんですよ。できるかなと思って取りかかるけど、途中まで組み立ててみて、ゴールが見えてくるともういいやって」
私の性格を振り返ると「飽きるまでやってる」ことが多い。ただ、それがゴールだったかどうか疑わしいものが多くてなんとなくだけど、この方のいうこと、またこの作品の誓が感じていることがわかる気がするのだ。

 

だからこそ、目の前にもっと美味しそうなものをぶら下げられると揺らぐ気持ちもわかる。日本なんてレベルじゃないほどのチームがスカウトを目的に来たと聞けば、「これでいいのだ」と思っていることがベストかどうか、誰しも問いかけるだろう。
スカウトされるには、目立つしかない。目立つには勝つしかない。けれど、アシストがチーム優勝にも繋がらないのに、順位優勝しても意味がない。
このせめぎあいがハラハラとして、臨場感を呼んだ気がする。
レース事態の緊迫感だとか、見えるようなレース展開というは、少しさらっとしてるかなという気がした。

 

石尾はどういう人間なのか?
それが最後までわからないまま、じりじり進んでいくのもいいと思った。
どことなく、スポーツマンシップというより、それじゃトウシューズに画鋲入れるのとかわんないじゃん的なところで、真相が急がれるのだ。

 

「あいつは笑ったよ。なぜかわからなかったが、おまえの言葉を聞いてわかった」(P270)
そういっているヤツに説明せずに笑う誓がいいと思った。
説明はいらん。わかったと思ってるヤツには思わせておけばいい。
嫌みなヤツでもいいじゃないか。
「行けよ」
彼は永遠に、背中を押してくれる言葉を得たのだろう。

 

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