片雲さくら

俎上の鯉は二度跳ねる

評価:
水城 せとな
小学館
¥ 500
(2009-05-08)
感情の動きがリアル
恋愛は…
疲れた.......

はぁ、読み終わって魂抜けました。まさかこんな展開になろうとは…。

 

言いよられれば断れない「流され侍」の恭一と、微妙関係ながらも始まった今ヶ瀬。
しかし所詮はゲイ。言いよる自分が頑張らなければ、恭一との関係だって終わるものだと思っている今ヶ瀬。自分が愛されていれば落ち着くのだ、でもゲイではないし、今ヶ瀬のいうとおり、いずれは女性と結婚し家庭を持つのかもしれない。けれど彼との関係に責任はなくていいのか。答えがでないままズルズルしているうちに、同じ部署のOLたまきが登場。

 

恋っていうのは幸せになるためにするもんなんだと思っていたよ
子供じみた夢想だな。

…そう言われちゃうと正直80%くらい何かが崩壊してしまったのは、私だけでしょうか。夢想でしょうか。そう思わなくもない。


「窮鼠〜」では恭一ほどダメ男もないもんだと思ってみてたけど、こちらの巻になると、どう考えてもどう転んでも今ヶ瀬が、ダメっていうんじゃないけど、どうしたらいいのかわかんない。

 

そんなに愛されて生きていけるならそれでもいいかな…なんて
なんとなくその気になってズルズル流された

女が現れたら身を引くと言っていた今ヶ瀬は、「貴方じゃダメだ」と別れを切りだす。お前がダメというならと、恭一は深追いせずに別れを選び、たまきと付き合い始める。半年後そろそろ結婚かという時に、たまきにストーカーが現れ怪我を負わされる。調査依頼されていた今ヶ瀬は恭一と再会してしまい、未練をぶつける。

 

そうか、言いよる人がいればそちらに流され、碇を下ろされ一人のものになったとしてもその人の気持ちにズルズル流されるのか。
それはそれで恐ろしいが、お陰様で流されるというよりは結構、考えていたと思うんですけどね。っていうのを最後で結局たまきちゃんはわかってたので、やっぱり彼女は可哀想だなと思うところではありますが。いい子だったのにね。
どうしたらいいのかわからない男、今ヶ瀬の未練たらたら攻撃に無表情にじっと聞いているだけの恭一が怖かったですわ。
動揺するときは黒でも白でもグレーでも、一緒になってオロオロしていたのに、もう腹決まっているんですか、目の前で哀れにも泣いてみせる男も撥ね退けちゃうんですね。
見事な変わりっぷりじゃないですか。さすが男ですね。同じ轍は二度踏まないんですね。と、感心しつつ半分以上はハラハラしました。もうダメなんですかね。と。

 

ところがしっかり元の鞘。それでもやっぱり「幸せ」というものが見えてこなくて。
彼女と別れると決めてからも、考えなおせという今ヶ瀬。重いよ。
どう終わってもしこりが残るんだろうなと言う感じでしたが、それでもいいラストでした。

 

恋愛は業だ
死出の道」とまで言ってしまうなら、そうかもね。

でも選んだんだ。

この恋が死なないように、本当に可愛がって上げでください。


アクセルにしてもブレーキにしても、多分ここまで踏み込まないと思うんですよね。
ある程度の余裕を持って、わかっているからこそ突き詰めないというところもお互いのためだし、自分のためでもあるような。
まぁBLですけど、猛烈に恋愛について、人生について考えちゃいましたね。

 

「男の家に上がりこんで
コトコト長く煮込むような料理を作る女と
付き合うといいですよ」

そうか、得意料理チャーハンはいかんのだな。
色々と勉強になる重厚な一冊でした。

 

最後の「あいつがいなければそれなりに仲良し」の夏生のつぶやきに大爆笑して終わりました。…ホントにね(笑

 

あと「黒猫、あくびをする」もかわいかったです。

こんな調子でデレデレに話が進むのかと思ったら…、やぁすげー読み応えだった♪

 

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Comment
あい
2009/06/06 9:44 PM
こんばんは。お邪魔いたします。ブログにコメントありがとうございました。

本当にすごく人生とか恋愛についてリアルに考えさせられる作品ですね。こういうBLに出合えるとテンションあがります。

<どうしたらいいのかわからない男、今ヶ瀬の未練たらたら攻撃に無表情にじっと聞いているだけの恭一が怖かったですわ。

あいもすごくそう思いました。恭一の豹変っぷり、確かに怖かったですね。あんなにオタオタしてたのに…なにかが急に吹っ切れたというか。

かなり途中がつらかったりしましたが、ラストは陳腐な言い方だけど、丸く収まってやっぱりホットしました。
二人には幸せになって欲しいです♪

TBいただいてまいりますね♪

かりんこ
2009/06/06 10:28 PM
さくらさん、こんばんは。

いや、さくらさんのレビュ読んだだけでもあの虚脱感と疲労感が味わえましたよ。
ホントお疲れ様でした〜。

さすがに読み返す気力はまだないのですが、さくらさんが取り上げてた「長く煮込むような料理を作る女」発言が気になって、つい探してしまいました。
な、なるほど、ここも伏線になってたんですね?気づいてませんでした(笑)

あと、今ヶ瀬ってたまきちゃんの二つ結びをうざがってましたけど、妄想の女性化した姿では自分も二つ結びしてたのが笑えました。
ほんと、くだらない女ですよね、コイツ(笑)

ではでは、こちらからもTBよろしくお願いします〜。

178♥
2009/06/06 11:51 PM
こんばんは。コメント&TBありがとうございました^^

>「窮鼠〜」では恭一ほどダメ男もないもんだと思ってみてたけど、こちらの巻になると、どう考えてもどう転んでも今ヶ瀬が、ダメっていうんじゃないけど、どうしたらいいのかわかんない。

ホントホント!今ヶ瀬ーww って感じで、どう表現したらいいのか分かんないですよね。恭一が好きで好きで、ある意味半狂乱に近いのかな…と思ったりしました。

>最後の「あいつがいなければそれなりに仲良し」の夏生のつぶやきに大爆笑

夏生って的確ですよね(笑) “女”って思ってるし…。
しんどい展開もあったけど、セリフ一つ一つに考えさせられる良い作品だと思いました☆

さくら
2009/06/07 1:27 AM
あいさん、こんばんは。
訪問&コメント&TBありがとうございます。

>本当にすごく人生とか恋愛についてリアルに考えさせられる作品ですね。こういうBLに出合えるとテンションあがります。
これはBLというより、恋愛についてものすごく考えさせられる作品でしたね。

>恭一の豹変っぷり
ですよね。最初の方で白でも黒でもグレーでも、一緒になってオタオタしてたのに、
最後にはグレーがいなくなって。
見守る側も母の心境。今ヶ瀬という地層はかなり岩盤かたそうですよね。

>二人には幸せになって欲しいです♪
幸せになってほしいです♪

さくら
2009/06/07 1:35 AM
かりんこさん、こんばんは。
この本についてかりんこさんの記事を読んだときは、
笑いつつ納得してしまいました。
私がんばりましたー、違うか(笑

ビーフシチュー1時間半。
あちこちの伏線もですけど、今ヶ瀬の読みってすごいですよね。
予感的中しちゃうってわかりやすくてよいけど、
やっぱり疲れちゃうでしょうねぇ。
ネガ神ついてるからしょうがないけど(笑)、可哀想。

>二つ結び
お前もじゃーんって、爆笑しましたよ。
くだらない女です(笑

TB&コメントありがとうございますー。
またお邪魔させていただきますね☆

さくら
2009/06/07 1:39 AM
178(ハートでなくてごめんなさい)さん、こんばんは。
訪問&コメント&TBありがとうございますー。

>半狂乱
でしたねえ。胃も痛いし、煙草も吸い過ぎで肺も心配。
あんなに悩んでたらハゲちゃうよ、とか思ったり(笑

夏生さん、好きですわ。
女同士(?)仲良くやっていってほしいですね。

はーこ
2009/06/09 10:21 PM
さくらさん、こんばんは♪

この作品、妙にナマナマしいため、別離というラストを迎えるのではないかと心配していましたが、そういうことがなくホッとしております。
流されまくりの恭一がとりあえず、腹をくくったので良かったです。
でも、今ヶ瀬が下らない女になってしまったのは…。
本人が幸せならいいか…(苦笑)ってことですかね。

TBいただきますので、よろしくお願いします。

さくら
2009/06/10 4:40 AM
はーこさん、こんにちは。
ホントに最後までハラハラする漫画でしたね。
別れてもそうでなくても、どちらにしろ幸せになれないような
結論が見えてこない漫画でした。
なので、恭一が腹くくってくれてホントに頼もしかったですね。
くだらなくても幸せならいいです☆

TB&訪問ありがとうございます☆

ちょこらて
2009/06/15 11:22 AM
こんにちわぁ。

恋愛というか、わたしくらいの年齢からの人生論なんかを考えさせられる作品で、休みのたびに再読しているこのごろです。

年下なせいか、今ヶ瀬(変換で出なくて大変)の恋愛の仕方は十代の女の子並みに激しいし重いですね。若いときはそれでも楽しいんだけど、この年齢になってそこまで執着されるとキツイって思っちゃいます・・

逆に恭一は、恋愛観が自分とほぼ同じで、わたしの先の人生を語られたようで物悲しくなりましたが、ほんとに良い作品に出会ったなぁとしみじみ感じました。

さくら
2009/06/15 8:58 PM
ちょこらてさん、こんにちは。

>休みのたびに再読しているこのごろです
それを若さというのでしょう。ババァな私は一読で生気を吸い取られましたよ。。。
BLというより恋愛というより、人生でしたね。

今ヶ瀬のように、ここまで突き詰めてしまうとちょっとこの先辛いだろうと思いますね。
相手も辛いだろうし、おっしゃるとおりキツイよね。

そうですね、過ぎた年代ごとに楽しめる作品かもしれないですね。
5年後読んだらまた視点がかわるかな。
ホント、よい作品でしたね。

It comments.









    
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