片雲さくら

愚者の毒/宇佐美まこと

評価:
宇佐美 まこと
祥伝社
¥ 756
(2016-11-11)

職安で名前を取り違えられたことから仲良くなった女性ふたり。希美の紹介で、葉子は妹の子供を連れ住み込み家政婦として働く。住み込みをすることになった家の息子であり会社社長である男に思慕を抱くが、希美の口から聞かないまでも幼馴染以上の仲ではないかと疑る。口が利けない子供のために、父として頼りたいものの、この環境ではと思う気持ちは…。

わぁ。久々に惹きこまれる作品でした。車の事故あたりから先が気になって、一気に読んでしまった。
口のきけない子供、葉子の事情、難波家の事情、炭鉱閉鎖後の貧しい生活は誰の記憶? あれ、この奥様は誰? あれ? まさかここまでつながったりしないよな? と、ひとつ疑いだすと、「まさか?」と悪い想像をしたりしつつで、具合が悪くなりそうなくらい負の連鎖がどことどこでぇ? みたいな心の絶叫とともに話が転がっていく。
中でも炭鉱が閉鎖されてから、あれだけの工夫はそういわれればどこいったんだという思いもしなかったものを見せつけられた気がした。あの時代、そう裕福だった人はいないだろうけど、戦国時代の地主様と農民並みの関係になっていて、さらに都会からの邪悪な怠惰が忍んでいたり、なんだかめっちゃ怖かった。

カラスがそれほど調教できる鳥なのかわからないけど、習性を逆手にってこともあるなら100%行くってわけでもないから、思いの強さが成就させたのかと思うと、これも怖い。
職安で名前を間違えられる。面接までいってるわけだから、期待と交通費のことを考えれば怒らなくもない。些細な事と受け流すしかないと思うことにも、勝気に行く活発な女性なのかと、最初受け流していたが。読み終わってみて、希美の想いというものを改めて強く感じた。

 

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片雲さくら

リカ /五十嵐 貴久(幻冬舎文庫)

評価:
五十嵐 貴久
幻冬舎
¥ 648
(2003-10-10)

出会い系サイトに出来心で手を出した42歳・妻子持ち。詳しい男にうまいやり取りの方法まで聞き出してまで、直接会ったり調子いい断り方など身に着け、出来心はさらに物色。ほどほどにドリームやり取りで日常を楽しくするつもりが、リカという女は違った。会ってもいないのにストーカーが始まり…。

ちょっと昔の話ですかね。出会い系サイトってそういうもんですかね。つか、メールのやり取りを楽しむ人もいるんですね。SNSが流行るわけだな。
ってことで、なんかこの調子じゃ1〜2回会ってヤッた女が数えきれないほどできたとしてもとことん「出来心」で頭下げれば許されると思っているようなアホな男に軽く鉄槌落としてくれるホラーですね。
臭い、意味不明に説明できない臭いってたぶん、やっぱり怖いんだと思う。そんな口で舐められちゃったら、誰でも失神しそうだな。
でも「急におかしくなった」というより、ようやくオマエが気づいたんだろってことで、振り返れば最初っから、おかしな感じはあったように思うけど。浮かれてるとわかんないものなのかね。っていうところも男女の違いか、思うところが違いますね。
軽い鉄槌、実際のなんの暴力も経験も言い訳もしない女のほうが、リアルは怖いだろうな。
刑事がかわいそうだった。
それと解説のバカっぽい一行目がさらに怖い気がして閉じた。空気読めないバカがやっぱり怖い。
続きはいらないなぁ(笑

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片雲さくら

暗い越流 (光文社文庫)

家のどこかにある母の骨壺を取ってきてほしい。女の依頼で、心霊スポットとなった家へ向かう葉村だが、地下への階段を見つけ…。(蠅男) 弁護士が出版社へ持ち込んだのは凶悪な死刑囚へのファンレターだった。調布の消印と名前しかない手紙を手に差出人を探し始める。(暗い越流)

葉村シリーズの2話を含む短編集。ここで古本屋のバイトの始まりがようやくわかった。というか葉村シリーズは順序よく読んでないので、(それでもなんとかなるので)つぎはぎされる履歴も面白いと思うが。不運というか、それだけで片づけちゃ申し訳ないほど、不運な目に遭う葉村さん。それでも、毒づく元気があるところが素敵だと思う。こんな風にサバサバ慣れたらいっそ気持ちいいんだろうな。
出版社の私の話は一話ごと終わりに、ぞっとすることが書かれていて怖い。そして面白い。
「狂酔」はなんだかよくわからなかった。が、葉村志リースが読めたのでま、よしとするか。

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ブックマートの金狼/杉井光/NOVEL0

新宿三丁目の『くじら堂書店』の店長を任された男・直人は元・トラブルシューターという顔があった。本屋の仕事にどっぷりはまっていたが、アイドルの危機に手を貸すことに…。

 

nanacoさんの感想が面白そうだったので買ってみました。
物語のジャンルでいうと好きなタイプの話です。
五條さんほどシビアでなく、ちょっとIWGPなところも好きですが、
噂に尻尾が付きまくって伝説になったというより、30そこそこなら、
体力がヘタレでも、鼻は利かないとおかしいんじゃないかなと思ったり。え? それは理想すぎですかね。いやいや、クセのありそうな、昔の仲間はちらっとしか出てないけど、もっと期待できそうな感じじゃないですか。
それとも、ヘタレ押しなのか?
新宿三丁目で本屋ってのは現実無理だろうと思うところもあるし、しかしそこが職場なら、ヤバそうな道とか一般でもわかるだろ。ヘタレつーよりユルすぎだろとか、ちょっと思った。

 

それでも、スピーディな展開と周りのキャラが面白そうなので、続編は読みたいかなと思います。
表紙、二人いるのかと思ったけど、裏オモテってことですかね。
吉村さん、おばちゃんだと思ってたけど、地味めながらも案外かわいー子なのかもしれない

 

 

 

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片雲さくら

僕は君を殺せない/長谷川夕/集英社オレンジ文庫

クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加することになった『おれ』。目隠しされてバスで連れてこられた場所で次々と参加者が殺されていく。『おれ』はなんとか逃げ延びたが、逃げきったのではなく、監視されているような…。
なんとも逆らえない感じの押しかけ女房、レイちゃんと半同棲している『僕』。レイちゃんは、廃遊園地にまつわる怖い話をよく聞きたがる。『僕』の周囲では葬式が相次いでいて、ちょっと話すのもつらいのだけど、彼女には逆らえません。

 

ホントに、一人称増えたよね。 『僕』だろうと『おれ』だろうと、たとえば社会的TPOで俺っていったり、私っていったり使い分けはあるのだから、明らかなミスリードを誘う雰囲気にはうんざりですわ。
そんでもって、帯の過剰なコピーもうんざりですわ。
感情やら理屈やらなんらかのタイトルを超えるものを期待して読んだ私がばかだったのか?

 

今年『何者』も読みましたが、売れてる本に共感できなかったのは2度目ですわ。
つか、短編が一冊になってたら、関連かと思うじゃないか。
なんの関係もないなら別ですって、言っといてくれないかな。
無駄な文字数読み過ごしましたって感じです。
間違って二度と買わないように、酷評でも書き記します。
あと、オレンジ文庫は二度と買いません!

 

 

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バッドカンパニー/深町秋生

沖縄休暇を満喫していた有道は「金になる」仕事のために女社長に呼び戻される。「金になる」仕事とはつまり、それだけ危険な仕事ということだ。案の定、暴力団の売り上げを狙う輩は銃に刃物にカーチェイス、挙句の果てには…。
有道の務める「NASヒューマンサービス」はおもに軍隊出身者や元警官で構成される人材派遣会社。警備や要人警護といったまともな仕事をやる一方、法に触れるような暴力沙汰も引き受ける。要は金さえ払えば暴力団だろうと敵にも味方にもなるってことだ。

 

深町さん、好きだ。やっぱり読みやすいし、スピード感があって面白い。
「うどうさん」? え? 風間一輝ファンとしては一行目のその名前で興奮してしまいますが、あちらのうどうさんより、ちょっとやかましく、ちょっとナメられてて、ちょっと情にもろく、そして下戸。
女社長が同年くらいのはずなのに、やたらアシライがうまい。拝金主義でイカれている。誰もが認めるほど、イカれているのでむしろすがすがしい。

 

ハードボイルドで雇い主に頭が上がらないのに常に吠えまくってて、いつか噛みついてやろうとしながら、永遠にこき使われてる系の無茶苦茶やるタイプの男の話ってありますけど、これはそれらの中でも結構コミカルな感じがするな。

 

柴、名前からして柴犬とか有道に言われて、クールに無視するかと思いきや、毎回吠え返してるし、この人も面白い。女社長のセリフも気持ちよいし、「有道、ダメよ。お座り」には笑った。
これはシリーズ化してほしいなぁ。

 

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鈴木ごっこ/木下半太

大阪新町でカフェを運営していたわたしのもとにある日スキンヘッドがやってきて、夫の浮気が原因で借金2500万円を求められる。返済のための男の提案は「鈴木になること」。世田谷の家に鈴木になるために4人が集められた…。

 

鈴木一家になってどうして一人頭2500万円を返せるのか。
赤の他人同士が家族ごっこしたところで、金にはならない。彼らに与えられたミッションはなんなのか?
そんなことを呆然と考えながらも、借金抱える人たちの事情。彼らの元の生活の中にいる家族への思い。4人が生活することでほっそりとした希望の光が見えてくる。…のに。。。
という心地よいほどのどんでん返しというより、裏切りが待っていて、「ああ、そうですよねー」って感じで終わる。
読みやすい。エンタメとしては面白い本ですね。

 

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片雲さくら

何者/朝井リョウ

評価:
朝井 リョウ
新潮社
¥ 637
(2015-06-26)

バンドやってた光太郎と、演劇をやってた拓人がルームシェアしている部屋の上の階に、瑞月の友達・理香が彼氏と同居していた。就活という共通点から5人は部屋で集まっては就活の話をしたり飲んだり。飲んだ日のことをかっこつけて話たり、自分はこうも頑張ってるとか、さっきまで前にいた人をSNSでチェックする拓人。一緒に演劇をしていたが、ぶつかったギンジのことも、SNSやネットで検索する。
なかなか内定者が出ない5人の中で…。


SNSってなんだろうって考える本。気軽にやってる人もいれば、言えないこと吐き出すために使ってる人もいるだろう。でも、いつでも誰にでも、どんな場所でも本音だけ言ってる人ってそう多くはないと思うし、はけ口って大切じゃないのかな? と思う。
そもそも私はブログから始めたからSNSは本名じゃない。ブログはすべて本音かといったら、ハンドルネームというかその前のペンネームからの活動ともつながってるから、オンとオフは切り替えるのが当たり前だと思っていた。面と向かって友達にいうでもないことを言ったりしてるし、ホントに好きなことも、思ったことも、ごちゃ混ぜで言ってる。
だから、電波でなくリアルで知り合う人にはSNSは教えない。
裏って言い方をするから後ろめたく思うのかもしれないけど、そのメアドでバレる側の方、別に悪いとは思わない。
だからか知らんが、理香は好きになれない。イタいとわかってて頑張ってるっておしまいだろう。10点20点の自分でも出すべきって瑞月の言い分と似てるようで性質は違う。なんかしらの努力はしてるんですよって見せてるのと、日々SNSでこんな努力してますって言ってるのと大した差はないだろうに。
つか、なんすか? 瑞月も理香も、今後、どういう付き合いをしていくつもりで放ったセリフ?拓人も、観察者が悪いとも思わないけど、無理してやってるんだったらしんどいだろうね。 SNSに吐くまでもなく、「うっとおしい」とか心の中で毒づいてるけど、イチゴの数を気にしてるオマエのほうがよっぽどうざい、抱えて食ってろよって思ったり。
だからってその一言で嫌われたりはしないだろうけど、裏でコソコソ他人に漏らしてたとしたら、それはちょっと悲しいよね。


日常を切り取って140文字に選ぶ選ばないの言葉よりまず、切り取るシーンも問題だろうね。想像力、それもそうだけど、裏アカとの振り分けができるんだからTPOはわかってるんでしょ? ラストは前向きな一歩を踏み出したみたいな感じもするけど、自分に合わないこといきなり始めても簡単に人は変わらないと思う。
10点、20点でも出すのが大事だという人もいるだろうけど、そんな半端なもので私になにを評価しろと? 聞いてくる人のほうが大半だと、何度目かの転職を終えた私は思うのデシタ。
欝々とした気持ちになるけど、あっさり読み終える本でした。…世代だろうね。



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片雲さくら

侠飯-おとこめし-/福澤徹三/文春文庫

評価:
福澤 徹三
文藝春秋
¥ 637
(2014-12-04)

就活停滞中の大学生・良太はヤクザの銃撃戦に巻き込まれ、助けてくれた側のヤクザ・柳刃を部屋に匿うことになる。びびりつつ、迷惑でありつつ、彼の作る料理はうまい。食材にも拘りを見せ通販でなんでも取り寄せる。美味い食事にありつけるのはありがたいと思いつつ、同級生たちが彼女でもできたのか部屋に押しかけてくる。ヤクザを匿ってるなんて、バレたら…。


 

調味料だの、この食材はコレにするなら原産はこっちとか、そこまで拘らなくても、腹減ってりゃ、なんでもうまいし、そんなのきにしねぇわって私には、ただただすごいねーとしか思えないけど、そういう拘りが一つあるだけでも、人生というか日常は楽しいんだろうなと思う。


 

就活ってなんだろうね。今や、一生一カイシャに身をささげようって人はいないだろうし、経済状況や自分の生活環境変化で、軽く、あるいはやむを得ない事情をもって仕事先なんて変えてく時代だろう。と思うと、そこまで糞扱いされてる就活に心をすり減らす学生たちのゆとりのなさにびっくりする。隣と同じじゃないとそんなに落ち着かないですか? マニュアルあったら開きますか? バイトに落ちると社員にはなれないってどれだけの確立ですか? 立証した人から聞いたかよ、誰かの話だろ。
とか、学生の立場とか心情とかよくわからんので、時々イラっとしながら読み終えた。
オチもなんとなく、それはないのではないか? つーか、むしろコメディっすか? ってもやもやがある。タイトルどおりじゃないことにがっかりした。
ヤクザはダメですか? つかさー「兄貴」って呼ぶ社会、そこ以外にあるんすか? 演技下手っぽい奴に銃撃戦で演じられてたってことっすか? 意味わからんよ。
オチまで続巻も気になってたのに、めっちゃシラけた。


 

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片雲さくら

魔法使いの弟子たち (上)(下)/井上 夢人/講談社文庫

山梨県内にある大学病院で院内感染したと報道された翌日、記者の京介は情報を得ようと動くが、すでに病院は隔離され近づくこともできない。歩きまわるうちに知り合った女性・恵に話を聞いているうちに、彼女の発疹を発見。彼もそのまま致死率100%の病に感染してしまう。
ところが京介と恵ともう一人は回復したのだ。だが、彼らにはそれぞれ念動力やタイムリープしたかのような千里眼など、超能力とも思える力がついていた。医師を含め、その力を後遺症と名付けたが…

パンデミックものは面白い。一瞬の緊張感が細々と描写されているうちにあっという間の時間を飛び越えていたりする。あっという間のページ数を読み終えてたりする。
それにしても、病気の後遺症で超能力が付いたってのはとんでもない話だが、その辺の描写も「ウソだろ?」って概念を持つ私みたいな人でも騙すように、その症状は一体って小さなミステリアスから繊細に推理していく過程でそういう結論に至ったっていわれちゃうと、信じるしかないよね。

人を「押す」だけで過去が見れる京介、「引く」と未来が見えてしまう。モラルがなければヒドイことになってたかもしれないけど、もうちょっと我を出して先みてれば…って、読者なら思うところをなぜそうも、ちっさいruleを作って先を見ないようにしているか、納得する嫌なことをも知らされてしまうと、どうしようもない。
感染してたとは知らず、街に病原菌をばらまいたことになってしまう恵の立場はきついものがあるが、テレビに出たがるってのはもともとの目立ちたい精神かと思うと、なんか、楽天的すぎる気がする。
泣きながら、でも歩くだけで人が死ぬってわかってるなら動くなよと思う。サルの行動もいまいちわからない。途中から、もはや東映怪獣ものでも観てるような気分だった。
医者がメディアが彼らに寄り添う発言をするってのも、なんだかね…。
それが残念。

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