片雲さくら

ミミズクと夜の王/紅玉いづき

死にたがりの少女が魔物の棲む森へやってきた。額に焼き印、手足に鎖。美しき魔物に少女は言う。
「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」
人間嫌いの魔物は去るよう命じるが、少女はさらにいう。
「あたし家畜だよー」 食われたいと願う少女はその森で過ごすが、森に迷い込んだ男により、魔物に囚われた少女がいると知らされた、出無精の聖騎士が救いに行く。

 

うーん。表紙が良いのと、読メで人気があったので買ってみたが、まぁ、この歳じゃ泣けないっつーか、私にはさっぱり…。
有川、若いんだなぁ…。

 

「美しい森に過酷な人生を送ってきた少女がやってきました」
みたいな。どういうふうに美しいのか、過酷とは、(家畜と呼ばれる暮らしぶりが)どんなものか、それは読者それぞれの補完でしかないところは、絶対的にズルイんじゃないかと思う。
なんの空想もしなければ、紙芝居の裏側を読んでいるだけのような感じ。描かれているものはさっぱりない虚無的な世界。
それがいいと思う人もいるだろうけどね。

 

でもきっと、この口調で初対面を堂々と切り抜けるってことは、少なからずも我を通す我儘っぷりか、バカでもOKな状態でいたのかって想像させるから、どうしても、机上の世界にしか見えない。

 

ちょっとばかり不幸だったら、誰何を問わずちょっとばかりの我儘は許されてもいいだろう? 結論もソレか、って思ってしまった。

 

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片雲さくら

セイジャの式日/柴村 仁

評価:
柴村 仁
アスキーメディアワークス
¥ 599
(2010-04-24)
出会えて良かった
まいりました・・・
旅立ち

先輩に頼まれ、山奥の彫刻家の元へ手伝いに行くことになったハル。しかし、どうも様子が変だ。彫刻家とその妻の不審な会話を聞いたあとで、林の中で腐乱死体を発見してしまう。ともに、死体を見た由良と、大学に伝わる噂を聞き…。

 

針の穴からでも、ドカーンとでっかい花火を打ち上げそうな爆発力と、突拍子もない行動と、奇抜な言葉。
「プシュケ〜」で由良彼方は明らかにフリーダムすぎる人だったのに、瞬間だったのかぁと思うと淋しいですね。
もう、あの時の彼はいないんだわ。

ということで、軽くその後の話として捉えれば、腹もたたないかな。

 

どういう人間だろうと、「誰誰に似てる」「俺と君は一緒だ」というふうに結べる人間はやっぱり嫌いだなと思った。
オマエの価値観を、こっちも同様に理解してると思うところがまず高慢だってことに気付けよ。言い放つ側と、言われる側で全く違うんだよ。
つか、ところでこの唐突さはなに? って感じでしたけど、この人なんなの?
興味もないけど。

 

後半の話は全くもう、一般的な「キレイなお兄さん」になり下がってしまったようですね。
歯が丈夫でよかったですね。…ってちょっと腐った気持ちで読んでましたけど、
「絵は枯れないもんな」(P304)
で、嬉しくなった。
彼女は果たせなかったけど、きっと今後の彼は変わるのだろうと期待して終われるのが嬉しかった。
もう、辛い気持ちでサインすることもないんだろうね。

 

絵はキレイでしたね。作品のイメージに合ってたと思うけど、由良は日本画。
日本画の青は全然イメージ違うんだろうなと思うので、“死”をイメージさせる青の混交って、想像はできないですね。
オフィーリア…。これも想像できない(笑

 

 

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片雲さくら

ハイドラの告白/柴村 仁

評価:
柴村 仁
アスキーメディアワークス
¥ 599
(2010-03)
明るい中にも伏線あり
前作「プシュケの涙」と繋がりあり……どっかに書いておいてほしかった
なるほどこういうことか!

「自分の知っている布施正道とは違う」気鋭のアーティストを追って、寂れた町へやってきたハルは、同じ美大に通う由良と会う。彼もまた同じ目的らしいが、理由がわからない。しかし、自分が探っている理由も明かせない。
そして彼は、ハルを一歩リードするような切り札を持っていた。

 

プシュケの涙」はブログ友達にお借りして読んだもので。
このたびメディアワークス文庫へ移動して、さらに続編も出たってなことなので、シリーズ一気買いしてきました。

 

「プシュケ〜」はやっぱり読み返しても切ないね。先を知っているのに、いや、知ってからでも「うっわー」ってくる。
最後のページでやっぱり、無念が同調して閉じられない。

 

そんな名作の続き。
ストレートにいうと、もう最初っから印象が違いすぎるよね。
トラップとして書いてないのかなと思いながら、ネタ明かしでやっぱ失敗だったんだねと気づく。
存在しないとされる作品に、いとも簡単にモデルがあるってあっさり説明する由良。
すんなり聞いちゃうハル。
なに? 最初の設定を書いてる途中でうっかり忘れたわけ?
ミステリーではないんだろうけど、ちょっとそこないがしろにしちゃ成り立たないんじゃないかな。

 

ついでに、その血と普通の血の成分が違うことは、女ならわかることだし。
えげつない想像をさせたかったのかもしれないけど、ミステリーとしては、どう考えてもありえない空想でしかないよね。
ちょっとがっかり。

 

後半は、前半でもちらっと出てきたいとこの、モデルやってる女の下心。
双子といいつつ、キャラ違いすぎるでしょって思った私としては、どうしてこっちを好きなのか、理解できるものではなかったが、DVに嵌る女や不倫に嵌る女は繰り返すというそうところでもなく、単なるないものねだり系かってので、やっぱりつまら…ぅ。

 

美形双子の話なのに、あんまりにも「萌え」な部分がない珍しいパターンでした。
こんなに偏愛を描いているのにねぇ。

 

つか、また一人称か…。

 

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片雲さくら

カラクリ荘の異人たち 4 〜春来るあやかし〜/霜島 ケイ

評価:
霜島 ケイ
ソフトバンククリエイティブ
¥ 662
(2010-04-15)
季節と連動した発刊を維持して欲しかった

2月は采奈の誕生日。手袋を貰って嬉しかった気持ちを伝えたいと思う太一だったが、女の子に上げるプレゼントを選べずにいた。
クラスではあいかわらず采奈以外に話たこともない太一だったが、ある日突然、高坂が話かけてくる。
「幽霊が見えるんだって?」
采奈によるとモテる男子な高坂だったが、付き合っていた彼女を亡くしてから、笑わなくなったという高坂。からくり荘の大家に相談があるという彼は、死んだ彼女から、今年に入って3度もメールを受け取っていた。

 

他、2編。
ああああ、好きなシリーズが遂に完結してしまいました。
ラノベだっつーことより、異界ものってことより、なにより、人と接することが苦手な太一。その原因を作ったのは、あまりにも心ない母の一言だったという、そのあたりを常に見守ってきたわけで。
私にとってはトラウマというほどではないけど、友達もはっきり言って少ないし、人づきあいはどちらかというと苦手だし、人に触れられるのは別の意味で激しく嫌いなわけで。

 

わかるというより、彼はまだ若いですから、なんとかすれっからしになる前に、もっとちゃんと人と接して楽しいと思えるような生活を営んで行けるような人になって欲しいと見守ってました。
居場所のない家から放り出された形ではあるけれど、だからと言って、からくり荘の住人が甘やかすわけでもなく、そこは自分で考えるべきでしょってところを、痛いと思われようとちゃんと対峙してくれるところはいいと思いました。

 

“好き”の反対は“どうでもいい”。無関心。共鳴に近い感じ方に対して、これは間違いだと、どこかで修正が効くものなら、それがいいに決まっているという思いから、見守ってきたところ。

 

今回の3話の中でしっかりと見定め、恐怖の原因をちゃんと理解する太一。
妖怪を怖いと思わないのは、まぁ、この作中で出てくる異界のものは、突っ込みどころ満載のお茶目なやつらだったってこともあるだろうけど、
大家云うところの「本人も気づいていない、傷」。
「笑ったところをみたことがない」という采奈。
太一とともに「ああ」と思うとき、やっぱりジンときてしまう。

 

狢の袖を掴んで、というシーンは思わず泣きましたな。
もう、涙腺弱くていかんわ。
腕を伸ばせるようになってホントに良かったねと思う。ただ、吉田秋生も好きなので「許さなくていい罪もある」というセリフも思い返す。病だったとしても、和解するにはもっと時間がかかるだろうと思うので、きっちり片付かないまま終わってくれてよかったと思う。

ラストってことで、やたら総動員で、再会シーンまであったら嫌だなと正直思ったけど、なくってよかった。
ただ、傷ついたとしても、ちゃんと快復できる場所を得たことが嬉しかった。

それからもちろん、采奈との恋の行方も♪
あかねちゃんが最後までかわいかった。
ああ、ホントにいいお話だった。

 

◆カラクリ荘の異人たちシリーズ レビュー
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片雲さくら

〈本の姫〉は謳う 4/多崎 礼

評価:
多崎 礼
中央公論新社
¥ 945
(2008-09)
歌はいいものだ
少し切ないも明るい余韻
表紙のイラスト…

世界に散らばった文字<スペル>を、本の姫と集める旅も、終盤。アンガスの拠点となっていた街・バニストンの騒動と、レッドの目的。急ぎ戻るアンガスたちだったが…。

 

やっぱ、人が多かったかなぁと思う。
アンガスにとっては誰もを平等に好きで、同じくらい大切だと思っている人だと思っていたので(あ、この際セラは抜きにしてもいいけど)、武器を向けられても両手をあげて近づいていける勇気を持っていたんだと思っていた。
無抵抗のものに銃を向けるとか、そういうのじゃなく、心で訴えるみたいな。
なので、というか、偏見なのかもしれないけど、ウォルターの死、町の崩壊、それだけで殺したいと思うほどレッドを憎いと思えたのだろうと、少し違和感を感じだ。
近しい人の死や、住んでいた町、お世話になった人々への思いを「それだけ」と言っているのではなく、今までの旅の中で体験してきたことから比べると、アンガスの沸点としては、今回早かったような気がする。
そこがやっぱり、複雑な感じで…。人が多すぎて、単に私が思い入れがないだけなのだろうか。

 

まぁ、でも、面白かったです。この世界の成り立ちというもの事態が、面白かったと思う。
でも多分、スタンプとか、この話でいう本しかなかったら、私はきっと「活字」からとことん離れて暮らしたいと思うだろうな(笑
だって、きっと酔うと思う。
文字<スペル>は幾つあったんでしたっけ?
たとえば、それだけで世界ができているとしたら、私はいくつの言葉を選ぶのかなとか、ちょっと思った。
7つの大罪はやっぱり入るのだろうか。
最後に選ぶのは、「世界」じゃないかもしれないけど、「希望」が生き残るなら、未来は明るいだろうねぇ。うん。それはラストに残すさ。
でも乙女じゃないから、好きな人の心臓にラクガキはしない。

 

恋愛に対して、作者のテレが見え隠れする気がする。
また、ステキな世界感でいいキャラを作って、「こやつめ!」と言わせて欲しいものだ。

 

◆〈本の姫〉は謳う レビューはこちら

 

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片雲さくら

〈本の姫〉は謳う 3/多崎 礼

評価:
多崎 礼
中央公論新社
¥ 945
(2008-06)
見えはじめた謎と結末
今一番好きな本です

声と記憶を取り戻したセラと、スペルの呪縛から解かれたウォルターを加えたアンガスと愉快な仲間たちはセラの故郷へ。そこにもスペルが存在した。
次々とスペルを回収していくアンガスたちだが、姫の表情も曇れば、アンガスもまた、幻視とも思えぬほどリアルな滅びを目の当たりにする。
また、アザゼルは愛しいリグレットと、世界の滅びを秤にかける。

 

あれ? ウォルターとアンガスって同い歳くらいじゃなかったっけ?
彼は対象外だといいつつ、アンガスはOKなのか? ま、好みの問題だろうけど、どうにもセラの言葉遣いと性格はイタイ気がする。

 

つーか、私の好みとしては、本の姫のほうが好きだからな。
あっちとこっちで大概の人がダブって見えるキャラ設定なのに、セラは誰だ?
姫はリグレットじゃないのか?

 

「私を汎用するな」
ようやくここで出てきたか。あらら、ってところですね。
すると、アンガスのほうも自分の知己じゃないものを利用できるってことは、同じなのかしら。それともキーなのかしら。

 

続きが楽しみです。

 

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片雲さくら

薔薇の戴冠 クラシカルロマン/華宮らら

評価:
華宮 らら
小学館
¥ 590
(2009-07-01)
まさにクラシカルロマン
またまた引き込まれます!
良質の少女小説

亡き母が頼って生まれ育った子爵家の息子と、このままゴールインかと思いきや、突然やってきた使者により、次期王位継承者であると知らされたエティ。彼女は女王として生きることを選択し、王宮へあがる。彼女を補佐すべく、また短期間で王宮で生きる術を身につけさせるために選ばれたのは、一瞥殺傷能力もあるような侯爵家の美青年だった。

 

…って、あらすじが身も蓋もなくなってしまうが、そぎ落とすべき部分を間違えると、こんなあらすじですよ。

 

「オマエ! 結婚まで考えてたんじゃないのかよー」
確かに、その麗しい顔を見るだけで幸せをもたらせてくれるような美青年は、存在するから、非難するつもりはない(笑
だからって、まっしぐらでフォーリンラブじゃギャグにもなんねぇ気がするんだが。
ああ、はいはい。まっしぐらではなく、はぐらかしはぐらかし、大きいような些細な国事的私的な諍いっぽいのも、多々練り込まれてたり、田舎でのんびり暮らしてた少女がいきなりの帝王学と社交界の勉強とか、いろいろ汲んでやってもいいんだけど、ね。

 

つーことで、あらすじどおりで楽しめるなら、フィンとやら、この侯爵家の美青年は、自分の美貌を傘にしているところもあるけれど、いたく真面目で不器用なところもあって、なかなか楽しめる方でした。
相手がメロメロだとわかっていて遊ぶ男です。批判したいが、メロメロなもんはしょうがないよねぇ。蜂は蜜の味が好きなのだ。

 

そして最初から寄り添っててくれたいい男もまた美青年なのに、つまらないことに、引き際が美しすぎて納得がいかない。
女より経済か? それより、マダム・ルーと抜き差しならない舞台裏になっていたらどうだろう? なんて、考えるのは「クラシカルロマン」とやらについていけないダメ読者の表れですかねぇ。

 

エピローグにさらに美青年が出てくる。こっちのオマージュとして作られた作品だとしたら、納得がいくような気がするので、またしても選択を間違えたのは私ってことかしらね…。

 

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片雲さくら

カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~/霜島ケイ

評価:
霜島 ケイ
ソフトバンククリエイティブ
¥ 641
(2009-04-15)
ちょっとまったり?
かわいい女の子

「君は帰るべきだ」
妖怪や魂の浮遊するあちらの世界と、こちらの世界の境界守である「空栗荘」の生活にも慣れてきた太一。心に傷を抱える太一は、厄介払いされたと思っている実家へは正月も帰りたくないと思ってた。が、歳も近く温厚なレンに「逃げている」と指摘され、二人は初めてケンカをする。
12月の誕生日を控えて、義母である「鈴子さん」から贈られてきたクッキーは、硬すぎて甘すぎるクッキーだった。クラスメイトの采奈は、テスト期間をおして作った手編みの手袋を「軍手」だと言って、太一に渡す。
不味いクッキー、手編みの軍手、そして、ひょんなことから太一にとり憑いてしまった雪女。
太一の出した答えは―。

 

アンケートなんかによくある「好き・嫌い」の間にある「どちらでもない」、これについて違和感を覚える人は案外多くいるのかもしれない。

私にとって「どちらでもない」は無関心ということであり、「どうでもいい」にも置き換えられるし、位置的なことを考えれば「好き・嫌い」の狭間ではなく、嫌いの外になる。人つき合いにおいてもそうだ。嫌いだなと思っているうちは、ケンカ腰でも文句は言うが、積み重なっていくとある瞬間から「もういいや」と思ってしまうことがよくある。
思ってしまったら最後、ホントにどうでもよくなって、どんな言葉も耳に入らなくなってしまう。まぁ、今は多少、アウトコールも受け入れるようになったが、若いころはそれで損したことは多々あるせいか、共感というより、太一だけはいい大人になって欲しいと、見守る気持ちが強いかな。

 

そんなわけで、太一の「どうでもいい」という言葉を、本人も無意識に吐いているその言葉についてカラクリ荘の住人にチクリと言われてしまうことから始まる。
寝てばっかりの大家にまで指摘され、心地よい場所だと思っていた太一が、焦り始めたところに止めの一発、レンが、覚悟の上でケンカに持ち込む。
「いい人だと思われたくなかった」
レンの言葉と、ケンカしながらも「それだけは言うな」と葛藤していた太一と、苦い気持ちでドキドキさせられた。
だから、ラストはやっぱり涙でしたねぇ。

 

ただ、意外に思ってた人物像じゃなかった「鈴子さん」っていう存在も、否定はしないけど、これからもうちょっと思いこみだけじゃなくて、打ち解けてくといいよね。

 

采奈は今回頑張った。まぁだ、わかってないようだが、この調子で押しまくって欲しいね。
付喪のあかねちゃんがやっぱりかわいい。和む。
今回は雪女が取り憑いてくれたおかげで、感情の動きについて太一も学んだことだろう。
なんか、最終回ですかってなまとまり具合で不安になるほど、清々しい終わりでしたけど、続くのよね。
そうそう、おばあちゃんの知恵袋じゃないけど、昔の人しか知らないような「謂れ」についても、毎回描かれていて、そういうところも好きですわ。
次回が楽しみです。

 

◆カラクリ荘の異人たちシリーズ レビューはこちら

 

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片雲さくら

〈本の姫〉は謳う 2/多崎 礼

評価:
多崎 礼
中央公論新社
¥ 945
(2008-03)
全4巻刊行されってからじっくり読むべし
物語が動き出す
つづきに期待がふくらむ2作目

アンガスの右目に宿るスペル。白髪に青い目、「天使還り」と忌み嫌われ、町を追われたアンガスの過去に迫る。そんな男に惚れてはいけないと諭されるセラ。
悲しい過去のある町に行き、その町で起こっていることを知ったアンガスは彼らを救うために戦おうとするが…。
旅から戻ったアンガスはセラが地図屋と結婚したと聞かされ会いにいくが、地図屋とはウォルターだった。セラはなぜか会いにきたアンガスに会おうともしないが、歓喜の園へ同行するアンガスたち。そこで彼らは…。

 

えええ? セラって拾ってきた子どもでしょ? ちょっと離れている間に、誰もが振りかえるような、誰もがプロポーズしちゃうような美少女に育っちゃったってどゆこと?!
ま、それは置いといて。

 

銃社会に素手で乗り込むアンガスが好きだわ。ま、本の姫もついてますけど、いざというときはかなりの攻撃力ですけど。
とりあえず殴られるだけ殴られても、それで話ができるならいいじゃないかというアンガスは強いな。
ヘタレながらもかっこいい。

 

聖域がいよいよわからん。アンガスだと思っているとアザゼルだったりする。
カタカナ弱いってだけじゃないんだわ、やっぱり読みなおそう。だんだん(今頃?)わかってきた。

 

「夢を呪縛と取るか、希望と取るかは貴方次第なのよ」
よいセリフですね。

 

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片雲さくら

〈本の姫〉は謳う 1/多崎 礼

評価:
多崎 礼
中央公論新社
¥ 945
(2007-10)
多崎礼 第二弾
将来のSFファンタジー大作
物足らないはじまり

本を開き一言つぶやくだけで、その本に存在するという〈本の姫〉が現れ、稲妻を落としたりする。そんな姫とともに、世界中に散らばった文字(スペル)を拾い集める旅をしているアンガス。
天使の遺跡で出会った声の出ない少女を拾ったアンガスは、彼女の住んでいた街について聞き出し、スペルの気配を感じとった二人はその街を目指すが、途中賞金首・レッドそっくりの男に出会う。それは弟だというジョニー。彼も二人と同行することに。
一方、聖域と呼ばれる天使の世界では、後続となるべく候補「俺」、が精神ネットワークをすり抜け…。

 

ゲームはするくせに、ファンタジー系の話はいまいち好きではないんだけど、これは面白かった。
完璧な異世界ではなくて、スペルとやらは英語だし、天使は天使名のままだし、銃社会的な感じはトライガンを彷彿とさせるしで、イメージはつかみやすいところがいいのかもしれない。

 

姫には妖精のように、雷だので攻撃する力を持っているので、どことなく頼りないアンガスの危機を救ってくれる。アンガスも彼女との約束を守り、力の限り本の姫を思い旅をする。
姫曰く、「顔だけが取り柄」というアンガス。
美形なだけに、夜盗に襲われれば、男娼として売り飛ばされそうになるし、あちこちでゴツゴツと殴られまくり、怪我もしまくり、ヘタレという言葉で片付けるにはちょっと見まみれで青タンな少年・アンガス。
さらに輪をかけて、ヘタレっぷりを披露してくれるジョニーとやらと一緒になったことで、楽しい道中である。
「その通りだヘタレ! よくやったぞヘタレ! 偉いぞヘタレ!」
姫といいつつ、楽しいお方。
姫と呼ばれるからに、アンガスを下僕と言って憚らない、この関係は楽しいね。

 

なにやら、アンガスには彼女に生命を捧げることで、生きることを選ぶという、投げ捨てたくなる過去があるらしい。

 

聖域とやらの話が、いまいちよくわからないまま進んでいくんだけど、ようやく見えてきたか?
ときどき、こういう視点の変わる話が交互にくるものってあるけど、何も必ず、章の中で交互にするべきことかと思ったりする。
ここまで細々切られるとツライものがある。とくに、カタカナ苦手なので、スイッチが利かない私。
2巻を読む前に、そこだけ拾って読み直したほうがいいかも知れない。

 

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